王様の庭

035_ただいま(Side L)

Gilry&Antique ‰Ô‚ÆŽG‰Ý‚Ì‘fÞW

抱かれることが嫌になってしまった。
ごまかして、何とかやれると思っていたのに。
並べて使われても平気だったのに。心を殺せたのに。
王様に出会ってから、全部変わってしまった。

あの方に触れられる日が来たら、それでも私は嘘を吐けるのだろうか。
あの方を誤魔化せるのだろうか。


赤い血

旅行中、不正出血は止まらなかった。
腹も痛いし、酒もさほど飲めないし。
温泉も短時間しか入れないし。
あの方のお酌はもう一人の奴隷さんがしてくれる。
だから、安心して昏々と眠っていたように思える。
眠って、眠って、ただ逃げたかったんだ、私は。

結局、不正出血のおかげで旅行中は抱かれずに済んだ。
帰りの車の中では本当にそれに安心していた。
相当、自分にストレスがかかっていたのだろう。
帰りの車あたりから、出血がだんだんと収まっているのがわかった。
元はと言えば、自分が2人の主を抱えてしまったから、自業自得でしかないのだけれど。
本当に、本当に苦しかった。

たった一人にまっすぐ愛されることを知ってしまったら、
もう、並べて使われることに耐えられるはずなんてない。
心をもう一度殺して、それを受け入れることでやり過ごすとしても。
王様はきっと、悲しい顔をするだろうから。
だから、本当にどうしていいかわからなかったんだ。
旅行に行くと告げられてから、1週間。
本当に私は、眠れない日々を過ごしていた。
それが解消されて、本当に安堵したんだ。

「ただいま」
その一言を王様に口にした瞬間、零れた涙は。
安堵の涙と同時に。
あの方への申し訳のなさも含まれていた。

私はきっと、もう戻れないと。
強く認識してしまったから。

心が鈍いままだったら、もう少し、楽でいられたのに。

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