王様の庭

034_行きたくない(Side L)

Gilry&Antique ‰Ô‚ÆŽG‰Ý‚Ì‘fÞW

庇護下

いつかこんな日が来ることはわかっていた。
だから、嫌だったんだ。

王様と2度目に会った日の翌日。
あの方からメールが入った。
「今度の土日開けておけ。久しぶりに温泉に行こう」
多分、あの方なりに気を使ってくれているのだろう。
盆より前、あの方は本当に疲れ切っていたし、私に対しても余裕がない対応をしていた。
その後、何とか気持ちを切り戻して。
彼は通常の勢いを取り戻しつつある。
だからこそ、私ともう一人の奴隷さんと共に仕切り直しをしたかったのだろう。

けれど、私にとっては苦痛でしかないのだ。
王様と出会ってから、あの方とは肉体関係はない。
旅行に行けば、また並べて使われるのだろう。
それが本当につらくて、嫌だった。
何よりも王様にそれを告げなければならないことも。
それでも嘘はつけなかった。

「今週末、あの方と温泉に行くことになりました。ああ、2人ではありません。3人です」
そう告げたとき、
明らかに狼狽されているのも分かったし、
明らかにショックを受けているのも分かった。

でも、私は今は「あの方」の庇護の下にいる。
また、自分の双肩にかかっている仕事もある。
担当している顧客だって多いし、実家も金がかかる。
だから、今すぐに仕事は辞められない。
それなら、あの方の傍を離れるわけにはいかない。
まだ、寵愛を得ていなければならない。

王様から出てくる言葉は、チクリと刺すような言葉だった。
王様の気持ちは理解できる。
でも、私もこんなところで運命が逆転するなんて思っていなかったんだ。

いろいろなことを考えているうちに、旅行の日の前の日あたりから不正出血が始まった。
生理には数日程早かったのに、出血は止まらない。

…それでも私は安心したんだ。
だって、抱かれなくて済むのだから。

SNSでフォローする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

人気記事