王様の庭

032_頬の痛み(Side L)

Gilry&Antique ‰Ô‚ÆŽG‰Ý‚Ì‘fÞW

沸騰

深夜の東京駅。
日本橋から東京駅まで移動したのち、軽くカフェでカフェオレを飲む。
私は仕事中はブラックしか飲まない。
けれど、その夜は王様に倣って、暖かなカフェオレを頼んだっけ。
ふと向かい合った彼の頬に手を添える。
嬉しそうな顔をしている王様の頬を撫でた後、むにっと頬をつまんだ。
思い出したのは、昔の奴隷へ当てたメッセージの書かれたブログのこと。

1回目と2回目の逢瀬の間に、王様は個人的なブログを整理して立ち上げなおした。
その際に、うっかり私が検索エンジンに残った「キャッシュ」を見てしまったのだ。
たしか、「俺の雌猫ちゃんへ」だったか。
…….久しぶりに、腸(はらわた)が沸騰するくらいに、静かな怒りを催した。
あまり静かに怒ることも、感情を前面に出すことのない私だが、その時は静かな怒りを体の中に感じたのだ。

「何をする…」
王様が苦しそうな声でそう言ったが、その言葉に今度は二人の元奥様のことを思い出す。
「俺の雌猫ちゃんのことと、キャバ嬢のことです。」
もう片方の頬もしっかりとつまんで伸ばしてやる。
しばらくそうしていたら、王様もテーブル越しに私の頬を引っ張った。

「何をするです…」
「俺だって結構嫉妬してる」
「痛いです」
「痛いようにしてる」

深夜の東京駅周辺のカフェで頬を引っ張り合って。
カフェオレを2杯飲んだのち、バス停まで歩いていく。
そして、泣きそうな顔を誤魔化して、バスに背中を押す。

頬から手を放したとき、少し寂しそうな顔をしていたけど。
…前回みたいに泣いていなかったから、少し安心して。
私は彼から離れた。

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