王様の庭

031_金魚(Side L)

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光と音、金魚の揺らめき。香り。
極彩色で彩られた光の中に水槽に入った金魚が浮かび上がる。
以前から王様に一緒に行きたいと思った「アートアクアリウム」という日本橋(室町)で、ここ10年以上行われている夏の風物詩だ。
別に魚が好きなわけじゃない。
ただ、私は水が好きなのだ。
雨も長雨でなければ好きだ。
水の近くにいると心が落ち着く。


白檀

夜のアートアクアリウムは美術館の中を真っ暗にして、照明を当てて水槽を照らす。
今年は花魁をイメージした光の中で、無数の金魚たちが踊っている。
おととしや去年と比べて、金魚のいる空間に適度な空白ができていたのは悪い話ではないと思う。
ぎゅうぎゅう詰めすぎると、空間の良さが消えてしまうと思うから。

2度目の逢瀬。
あと数時間でお別れの夜。
私は王様をアートアクアリウムに連れて行った。
暗いそこなら、手を握って歩いてもいいだろうし、
途中キスをしても暗がりだからわからないだろうから。
柔らかく、掠めるようなキスを二度ほどした覚えがある。

白檀の香りの中、金魚を堪能して。
そのあと、バーカウンターで軽く酒を飲む。
王様はほとんど酒は飲まないから、私だけ軽く酒を頂いて。
そして、最後の時間を楽しむ。
彼は終始、幸せそうだった。
握った手が握り返されるたびに気恥ずかしい思いと。
返したくない思いが入り混じる。
前回と逆パターンだと思いながら、私は王様に笑いかけていた。

1か月のうち、
たった2日しか一緒にいられないのは、やっぱり少し切ない。
もっと一緒にいたいと、自然に思うようになっていた。

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